スポーツサンダルのパイオニアとしても知られる「テバ(TEVA)」は、1984年に米グランドキャニオンのリバーガイドが、ビーチサンダルにストラップを付け、水辺でも脱げないサンダルを開発したことから誕生した。今年は、「テバ」のルーツである米グランドキャニオンが国立公園に指定されて100周年を迎えることもあり、“GC100コレクション”を発売した。“BORN IN THE CANYON(ボーン・イン・ザ・キャニオン)”をテーマに、グランドキャニオンの雄大な地形から着想を得た色鮮やかなストラップが特徴だ。まもなく迎える夏本番を前に、デッカーズ ブランズのアンダース・バーグストロム(Anders Bergstrom)「テバ」ジェネラルマネージャーに話を聞いた。
ブランドとしてのターニングポイントは?
アンダース・バーグストロム「テバ」ジェネラルマネージャー(以下、バーグストロム):84年にスタートして、85年にはデッカーズグループの一員になり、そこから5年という短い期間でアメリカでの認知度はみるみる広がりました。当時はまだ“スポーツサンダル”というカテゴリーがなかったので、新しいモノとして消費者も興味を持ってくれたのだと思います。
急成長した当時はどこで扱っていた?
テクニカルな機能面が都会でも受け入れられるようになった今では、セレクトショップでもアウトドアショップでも同じモデルが手に入りますが、当時は正統派のアウトドアショップでのみ取り扱っていました。
現在のグローバルのシェアは?
ビジネスとしては、北米、ヨーロッパ、日本がメインとなっています。
日本市場をどう捉えている?
日本もアメリカも売れ行きは似ています。その中でもソックスに合わせてサンダルを履く日本ならではのスタイルは、アメリカの本社でも影響を受けて発信しています。ブランド全体としてもグローバルで好調に推移していますが、特に日本市場の成長は著しいです。
ミュージックフェスもスポーツサンダルの普及を後押ししているのでは?
「テバ」は“モダン・アウトドア”というコンセプトを掲げています。一昔前は、アウトドアと言えばトレイルやハイク、カヌーを指していましたが、若者の間では、ミュージックフェス=アウトドアといったように捉え方が変化してきています。アメリカの場合は、春がミュージックフェスのシーズンに当たるため、「長い冬が去って、サンダルで足元から心地よく音楽を楽しもう」というプロモーションを打ち出しています。若者がエキサイトするものがキャンプやフェスになってきており、そこで自分の好きなモノを着て自己表現したいという傾向が強くなっているのだと思います。
スニーカーブームの影響は?
フットウエアとして非常に近いカテゴリーですが、消費者にとってスニーカーとスポーツサンダルは全く別のモノだと考えています。例えば“エア ジョーダン(AIR JORDAN)”がバスケットボールのために生まれたスニーカーであるように、「テバ」もリバーガイドのためのサンダルでした。ルーツがしっかりしているからこその唯一無二のプロダクトだと思います。
日本での今後のビジネス戦略は?
コラボレーションをより強化したいと考えています。大きな理由は2つあり、1つはコラボによる特別感を出せるということ。もう1つは思いもよらない相手とのコラボで消費者に驚きを与えられることです。コラボ相手との調和したモノ作りを通すことで、ブランドとして常にクリエイティブでいられると考えています。
今回はグランドキャニオン国立公園とコラボした。
ブランドではなくグランドキャニオンとコラボしたということが特筆すべきことです。「テバ」は、グランドキャニオン国立公園に寄付をしており、その寄付金をトレイルコースの舗装や環境対策に充ててもらっています。「テバ」のルーツであるグランドキャニオンとのコラボは、大きなインパクトを与えられるでしょう。